展示会に出展されている中小規模事業者の方へ
展示会を成功させるIT活用のポイント 「インサイドセールス導入・実践マニュアル」
御社の展示会、本当に成果を上げていますか?
展示会は年に1度の大きなイベント。新規顧客を開拓するビックチャンス。ですが、「展示会の効果が年々低下しているな…」と実感していませんか?
そんなお悩みをお持ちの方に、展示会の効果を高める活動として、「ホームページとメールを活用した、インサイドセールス」をご提案します。
展示会出展の課題を解決するヒントは、ITの活用にあると考えています。
でも、「これ以上、予算を計上することはできないよ」「そもそもITのことなど分からない」。 このようなご心配をお持ちの方もご安心ください。営業経験も、ITの専門知識も、必要ありません。
私たち中小規模事業者は、予算を大幅に増やし大規模なことを実施する必要はありません。比較的簡単な、小さなことの積み重ねが大切になります。
少しでも、ご興味ございましたら、最後までお読みください。
展示会に来場者される方の特性を知る
まず、展示会の現状についてです。
展示会に出展すれば、出展ブースに展示している製品に興味・関心を持った多くの方が出向いてくれます。とても貴重な顧客獲得の機会です。
しかし、展示会ブースの設営・装飾をして製品を展示するだけですぐに営業案件を獲得できるわけではありません。
その主な理由は、
- 具体的なニーズがない来場者が圧倒的多数(緊急性が低い)
- 現場レベルで決済できるものから経営判断が必要なものまで様々(来場者に決定権があるとは限らない)
- 数百社以上のブースが並んでいるため、見落とされる(中小企業は予算に限りがあり目立たない)
ですから、来場者と名刺交換をしても、すぐに営業案件とはならないのです。来場者の多くは情報収集が目的であり具体的なニーズがないからです。
展示会で製品・技術・サービスを認知(興味・関心)させることができても、認知がすぐにニーズになりません。したがって、展示会終了後すぐ受注に結び付く営業案件は一握りです。
「展示会来場者の大多数は、具体的なソリューションを求めているのではなく、業務としての情報収集のために展示会場へ来場している」との認識が必要になります。
また具体的なニーズを持って来場されるケースでも、「他社比較」「費用対効果の検証」「社内決裁」など、商談成立までには、乗り越えなければならないハードルがいくつもあります。
展示会の効果を最大化させるための施策とは!
展示会を成功させるためには、情報収集を目的にブースを訪れた来場者に対する展示会後の対応を考えた上で、最終的な目標を達成するための準備をする必要があります。
つまり、展示会の開催当日だけではなく、開催前・開催後の活動が重要になります。
展示会は開催前から戦いがはじまっています。
たとえば、開催案内の通知、顧客情報の管理やアフターフォローの仕方など、潜在顧客との関わり方も決めておいてください。繰り返しになりますが、ニーズがないと思われる潜在顧客がとても大切です。
展示会終了後すぐに営業活動を実施しようとしても、情報収集目的の来場者は現時点では具体的なニーズが無いため、なかなかアポイントが取れません。
特に人手不足の中小企業は、適切で効率的なフォローアップを実施しないと通常の営業活動の負担となります。また、一方的で不適切なアプローチを繰り返すと、せっかく獲得した見込顧客を逃がしてしまうことになりかねません。
これらの課題を解決して、顧客開拓・売上アップにつなげる方法として「ホームページとメールを活用したインサイドセールス(内勤営業)を導入し営業を強化する」をおススメしています。
展示会で達成するべき「目的と目標」
インサイドセールス(内勤営業)を導入する前に、「展示会に出展する目的と目標」を明確にしていきましょう。
- 【事業の目的】 自社の商品やサービスを通じて、社会に貢献する
- 【展示会に出展する目的】 優良な顧客を開拓して商品・サービスを販売する
- 【展示会開催中の目標】 1)営業案件を獲得する 2)見込顧客、潜在顧客を獲得する
展示会に出展する目的は販路を拡大すること。優良な顧客を開拓して商品やサービスを販売するためです。
展示会出展に求められる成果とは、「営業案件の獲得」と最終的な「顧客の獲得・売上アップ」です。この成果を出すことが展示会出展に求められています。
私たちが、この目的を達成させるためには、大きく3つのステップが必要になります。
- 【開催前】 「来場者」を増やす集客活動をおこなう
- 【開催中】 「見込顧客・潜在顧客」を獲得する
- 【開催後】 「見込顧客・潜在顧客」を育成する
では、どのようにすればよいか?
~展示会の主な流れ~
- 出展計画&準備
- 【事前】ブースへの集客(事前の宣伝)
- ブース設営
- 【当日】展示会開催(見込顧客・潜在顧客の獲得)
- 顧客情報の整理
- 【後日】インサイドセールス(内勤営業)
- アウトサイドセールス(営業活動)
*赤字の部分が今回のテーマになっています。
<主な購買プロセス>
「①商品を知る」→「②興味を持つ」→「③購買を検討する」→「④購入する」
- 【事前】…・・ 展示会の告知 「①商品を知る」
- 【当日】…・・ 展示会場で来場者の対応 「②興味を持つ」
- 【後日】…・・ インサイドセール「③購買を検討する」→「④購入する」
例えば、以下のような数値目標設定ができます。
- 目標(準備)…・ 開催の案内をメールで送り、○○件の「アポ予約」を取る
- 目標(ブース)…・名刺情報を獲得して見込み顧客を○○件獲得する
- 目標(後日)…・ 見込み客を育成して、○○件を顧客にする
すぐに商談→成約できそうなニーズのある訪問者は、通常通り営業マンが対応します。このニーズのある訪問客の数を増やすためには、「事前の集客プロモーション」が重要になります。
そして展示会の開催中は、「見込顧客・潜在顧客」を一人でも多く獲得する必要があります。一般的には名刺交換です。
展示会の開催当日は、より多くの来場者の名刺情報を獲得する場であると割り切って、この目標を達成することに集中するべきだと考えてください。
【展示会開催前】に来場者を増やす集客活動をおこなう
東京ビッグサイト(東京国際展示場)や幕張メッセなどで開催される展示会。このような全国規模の展示会には1日に数万人以上の来場者が訪れます。
しかし、展示会の集客は主催者任せにしないで、自社のブースに呼び込む準備をおこなうことが大切です。(主催者=展示会場に集客。出展者=ブースに集客)
自社ブースの集客を増やすための施策は大きく分けて2つ。「ブースづくり」と「集客プロモーション」になります。
「ブースづくり」とは、「ブースの前を通りかかった方」の来場者を増やすために、ブースの装飾をすることです。
今回のテーマから外れるため詳細は割愛しますが、「伝えたいこと(=問題解決の道筋)」を一言で説明したブースにする」ことになります。
ここでは、「集客プロモーション」について説明していきます。「集客プロモーション」とは、ブース訪問者を展示会の開催前に集客することです。
【集客プロモーションの方法】
- 対象:①既存顧客(取引先) ②見込顧客(名刺・名簿など) ③潜在顧客(業界のリスト)
- 方法:展示会開催の案内メールを送信
- 目標:商談アポ受付
- リストの作成
- 展示会専用のホームページを公開
- 顧客リストに一斉メールで送信
- 商談アポを受け付ける
- 効果検証をおこない、繰り返しメールを送信する
【事前案内のプロセスの一例】
【数か月前・予告メール】
○月○日の展示会に出展します。詳細が分かりましたらお知らせします。
【1か月前・案内メール】
詳細が決まりましたので早速お知らせします。
【数週間前~数日前・案内メール】
ご都合はいかがでしょうか?(前回送信した案内メールの効果検証をおこないメールの内容を改善すること)
以上のようなステップで定期的にメールを送信します。
案内メールを送る時に気つけることは、「来場することのメリットを伝え行動を促す」です。
人は理由がないと動いてくれません。
例えば、
- 国内の全メーカーが出展するので比較検討ができます。
- デモ用の機材も搬入しているので実際に体験できます。
- 見本をプレゼントします。
- 来場者特典の割引があります。
など、来場のメリットを必ず伝えてください。
なお、メールを送信の際は、必ず、展示会専用のホームページに誘導してください。
「もっと詳しい情報がほしい」「担当者から直接話を聞きたい」「現物を確認したい」と思って頂けるよう、出展製品についての詳細な情報を掲載しておくべきです。
興味・関心を持ったターゲットは、もっと詳しい説明を求めて(貴社の)ブースを必ず訪れてくれます。
事前の案内メールによって商談アポを取りつけて足を運ぶ来場者は、質の高い「見込顧客」です。ブース設営予算(チラシやカタログなど)を削ってでも事前の宣伝のための予算を確保しましょう。
業種や商材によっては、ダイレクトメール(DM)を郵送するケースもございます。
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【ホームページ作成サービス】
展示会専用のホームページとは、従来の企業ホームページと異なり、展示会に特化したホームページです。目的は商品に関心を持ってもらい、展示会に来場して頂く事です。こまかな商品スペックは不要。ページ数も1~3ページあれば十分です。
【おすすめホームページ作成サービス】
ぺライチ https://peraichi.com/
詳しくは、「ぺライチを使えば誰でも簡単にホームページが作成できる」のページをご確認ください。
【メール送信サービス】
「メール配信ソフト」のクリック測定機能でメール文面に記載したURLを誰がクリックしたのか測定できます。クリックした人にのみ次回のメール配信文面を変えるなど、効果検証をおこない繰り返しメールを送信します。
【おすすめメール配信ソフト】
アイ・メール https://imail-system.com/
システム内に登録できるのE-Mailの総数3,000アドレスまで2,000円(税別) +初期費用10,000円(税別)
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【展示会開催中】に「見込顧客・潜在顧客」を獲得する
展示会開催中の第一の目標は、「見込顧客・潜在顧客」を一人でも多く獲得することです。
なぜなら、「展示会来場者の大多数は、具体的なソリューションを求めているのではなく、業務としての情報収集のために展示会場へ来場している」からです。
ですから開催当日はより多くの名刺を獲得する場であると割り切って、この目標を達成することに集中します。そして展示会終了後にアフターフォローをおこないます。
アフターフォローとは、ホームページとメールを活用したインサイドセールス(内勤営業)です。
展示会のブースでは現場でしかできないこと。
例えば、商品を見ていただくなどが主な役割になります。1日に何十件ものブースを訪問している来場者を相手に、丁寧に商品やサービスの説明をしても短時間で理解をして頂くことが難しいと思われます。
そのため展示会場では、「商品を知る」→「興味を持つ」のプロセスを意識した対応が求められます。
商品説明はほどほどにして、聞き手の関心度に合わせてどんな問題を解決できるかを伝える。そして、信頼関係をどのように築いていくかです。
また、展示会開催後に連絡する約束を必ず伝えること。
「また来週ご連絡します」「○○を調べてお知らせします」「参考までにお見積りを作ります」など、勝手に約束をすることで、開催後のインサイドセールスがスムーズに進みます。
来場者のタイプに応じた対応を心掛けること
第二の目標は、より質の高い見込顧客の比率を高めることです。
大多数の来場者が具体的なニーズを持たない情報収集目的の来場者であっても、中には具体的な課題・早急に解決すべき課題を持った有望な見込顧客が含まれます。
後日のアポイント設定の約束ができる有望な見込顧客をより多くブースへ誘導することができれば、短期間で営業案件という成果を獲得することが期待できます。
訪問者から名刺を頂き、その場ですぐに名刺の振り分けします。
(例)名刺獲得 100枚の場合
- Aランク(10枚) …・ 商談を希望、又は、購入の意思がある人
- Bランク(70枚) …・ 情報収集の人(ニーズが具体的でない)
- Cランク(20枚) …・ 競合他社や売り込みの人
質の高い見込顧客とは、すなわちAランクの来場者になります。また、事前の集客プロモーションで来場した方も含まれます。
このようにランク分けする目的は、ランクに応じて接客方法を変えるためです。
展示会場でよく見られるのが、どの来場者にも同じ対応をしています。ですが展示ブースでは人手も限られているため、部外者と思われるCランク来場者を除外することも考えて下さい。
そして、有望な見込顧客(Aランク)の来場者の機会損失にならないようにしましょう。
展示会開催後に「見込顧客・潜在顧客」を育成する
展示会の出展によって獲得した「潜在顧客・見込顧客」は、すぐに営業案件になりません。なぜなら、来場者の大多数は情報収集のために展示会場へ来場しているからです。面倒でしょうがアフターフォローを行ってください。
アフターフォローの方法は、これまでに何度もお伝えしている「ホームページとメールを活用したインサイドセールス」になります。
まずは名刺情報の整理からはじめましょう。
展示会開催中に名刺交換した名刺情報の振り分けです。
(例)名刺獲得 100枚の場合
- Aランク(10枚) …・ 商談を希望、又は、購入の意思がある人 ⇒ 営業マンがアポイント取り商談を開始する
- Bランク(70枚) …・ 情報収集の人(ニーズが具体的でない) ⇒ インサイドセールスで営業案件になるまで育てる
- Cランク(20枚) …・ 競合他社や売り込みの人 ⇒ 除外する
営業案件(Aランク)とそれ以外(B・Cランク)に分かれています。Aランク(営業案件)は従来通り営業マンが対応します。そして、Cランクは除外してください。
アフターフォローを必要とするのは大半を占めるBランク(潜在顧客)です。実はこの中に宝の山が眠っています。
潜在顧客は無理に営業案件にするのではなく、又、そのまま放置してしまうのではありません。将来の顧客に育てていきます。
いまの時代、インターネットのない時に通用していたプッシュ型営業が通用しなくたっています。つまり情報収集は、営業マンに聞くのではなく、インターネットで調べるに変わったのです。つまりニーズが生まれるまで営業マンを必要としないのです。
すぐに営業活動をして売上を上げたいと思われるかも知れませんが、インサイドセールスは、今の時代に有効かつ効率的な手法になります。
向こうから声が掛かるまで待つ。信頼を得て、声が掛かるように、地道にメールを送りフォローするのです。
潜在顧客のフォロー段階において、長期的な視点で有望見込顧客へと育成して、具体的に購入を検討し始めるタイミングを逃さないことです。ニーズが顕在化した時、真っ先に声を掛けて頂けるようにします。
続いて、インサイドセールスの手順について説明します。
展示会専用のホームページを作成・更新。そして一斉メールで更新の案内をする。
展示会終了後は、以下の手順で進めていきます。
- ホームページを作成・更新。
- 顧客リストの振り分け。メールを送信する。
- 評価・再アクション
この3つのステップを繰り返し、顧客を育てていきます。
インターネットは、フェイスtoフェイス(営業マンの商談)と異なり、顔(表情)が見えないため、トライ&エラーが必要になります。ですから、失敗を繰り返し、自社の勝ちパターンを見つけるまで試行錯誤してください。簡単ではないが、これからの時代、避けて通れないのです。
ここで注意して頂きたいことは、完璧な計画と予算を確保して実行するのではなく、動きながら修正する。そのために、抵抗なく行動できる仕組みをつくることです。
具体的なニーズが生まれ、営業案件になる(営業マンが個別に対応する)か、不要だと言われるまで繰り返します。いつ、営業のチャンスがうまれるか分からないからこそ、とにかく繋がりを切らない、メール送信を続ける。そして、ニーズの顕在化により製品・技術に関心を持ち、具体的に検討し始めた時、営業活動がはじまります。
インサイドセールスは、完璧な計画と予算を確保して実行するのではなく、動きながら修正する。気持ちよく継続できるのが一番です。
行動すること。そして、継続させること